黒鉛は、高速中性子を熱中性子に減速させる効果が大きく、中性子を吸収する効果が小さい特性を有しています。さらに、高温での熱的・機械的特性に優れているため、高温ガス炉内構造物の減速材や反射材として使用されています。
中でも、当社の微粒等方性黒鉛 IG-110 は、優れた耐熱性、十分な強度、高い品質安定性を有しており、その上中性子照射損傷に関する数多くの優れたデータを有していることから、現在世界に3基しかない高温ガス炉※に唯一採用されている黒鉛材です。
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・高温工学試験研究炉HTTR(日本原子力研究開発機構)
・HTR-10(中国清華大学)
・HTR-PM(中国山東省 高温ガス炉プロジェクト)
次世代高温ガス炉用黒鉛として、更に高密度、高強度、高熱伝導を追及した材料IG-430黒鉛も既に開発済みであり、採用されることを期待されています。
(IG-110)
・中性子損傷に関する独自データを保有
・設計基準値に対し、十分な強度と品質安定性を有する
・高温ガス炉の構造材として唯一の使用実績を持つ
※写真提供:国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構
CX-2002Uは、カーボンフェルトに熱分解炭素を化学気相含浸(CVI)して高密度化させた高熱伝導材料であり、プラズマ・イオン/電子線に対する除熱特性を必要とする核融合炉のダイバータをターゲットに開発された特別な材料です。
IG-430Uは、高温ガス炉で実績のあるIG-110より高密度、高強度、高熱伝導を追求して開発された等方性黒鉛であり、主に熱負荷の小さいプラズマ対向第一壁に使用されています。
(CX-2002U)
・400W/m・Kを超える銅に匹敵する高熱伝導率を有する
・耐熱衝撃性に優れている
・異方性があり、熱的/機械的特性のデザイン設計が可能である
・日本を始め世界の核融合炉において、豊富な使用実績を持っている
(IG-430U)
・等方性高密度材である
・高強度である
・高熱伝導を有する140w/m・K)
※写真提供:国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構