フッ素電解用炭素電極(FE-8)は、専用原料を使用した高密度、高強度な材料です。東洋炭素は、電極形状から電解槽における電極使用条件まで、FE-8電極を好適に利用するための提案をさせていただきます。
当社のフッ素電解用炭素電極(FE-8)は、下記の特徴を有しており、フッ素ガス発生電解槽の操業において優れたパフォーマンスを発揮します。
また、電極を使用する上での最適条件や電解槽操業条件に関する提案(電解槽内の発熱/腐食対策)などさまざまな技術提案が可能です。
特徴
- フッ素電解専用原料を採用しており、陽極効果(*1)を抑制
- 高強度で割れにくい
- 臨界電流密度(*2)が高いため、電解効率を向上
(*1)陽極効果:フッ素電解において、炭素電極表面に(CF)nが生成することにより、電極表面は電解浴との濡れが悪くなり、その被覆率が一定値に達すると突然電解電圧が上昇して電流が全く流れなくなる現象。
(「フッ素化学入門2010」(三共出版)より引用)
(*2)臨界電流密度:フッ素電解においては、陽極効果を生じる電流密度
FE-8は、押出材の約2倍の臨界電流密度
FE-8は押出材と比較して凡そ2倍の臨界電流密度を有します。この電極をご利用いただくことで、より効率よくフッ素を発生させることができます。(社内実験結果)
当社のFE-8は、微粉原料をCIP(Cold Isostatic Press)成形することで、高密度・高強度な材料です。フッ素電解時には、粒子離脱によるフッ素ガス中の不純物増加や電極崩壊を抑制します。
代表特性値
材質 |
かさ密度 |
硬さ |
電気
抵抗率 |
曲げ
強さ |
灰分 |
Mg/m3 |
HSD |
μΩ・m |
MPa |
mass % |
FE-8 |
1.64 |
108 |
49 |
69 |
0.17 |
1. 上記数値は代表特性であり、保証値ではありません。
フッ素電解の製法・用途について
1886年Henri Moissan(仏)が、HFの電気分解によりフッ素の単離に初めて成功しました。その後、1940年代フッ素電解は工業化されました。当時は押出材電極が主流でしたが、電極の割れや陽極効果が発生すると、電極交換が必要になります。この交換作業は重労働であり、この作業中はフッ素の発生も止まってしまうため、長期間安定に使用できる電極が求められます。
フッ素ガスの主な用途
①高融点無機物のガス化
②半導体エッチング・クリーニングガス
③特殊ガス(代替フロン、絶縁ガス)
④高機能樹脂(PTFE、PFA、ETFE)
⑤電池用途(フッ化黒鉛、LiPF6)
FE-8を使用することで、電解槽は長期間安定に電解を継続でき、効率よくフッ素を発生できます。電極の使用条件などはお問い合わせください。