東洋炭素グループでは、マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの両面での開発を通して、3R(*1)を目的とした廃棄物発生量の削減と再資源化を推進し、循環型社会の実現に向けた技術テーマに積極的に取り組んでおります。
これまで培ったカーボン製造の技術的ノウハウと異業種間でのコラボレーションを推進し、水素活用を核としたクリーンエネルギー社会
の実現も目指しています。
(*1) 3R:リデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)のこと
当社では、限りある資源を最大限に活用する「循環型モノづくり」を目指しており、現在社内で廃棄されているカーボン材料を適切に処理し、資源として循環させるためのプロセス技術開発を進めています。
開発部門では再資源化に必要な処理方法や最終製品の特性に影響を与えるキーファクターの抽出を行っており、新しいリサイクルの工法や製品化に挑戦しています。
早期にこのプロセス技術を確立させ、資源循環型社会の実現に貢献していきます。
廃水処理は水資源に関わる重要課題の一つであり、環境負荷低減に直結するテーマです。当社は2017年より東洋大学とのオープンイノベーションを実施しており、当社黒鉛材料を廃水処理用の微生物保持担体として使用した廃水処理システムの研究・開発を行っています。
これまでの研究にて、黒鉛には生物活性発現効果があり、アナモックス細菌(低コストな廃水処理が期待されている細菌)を用いた廃水処理では、従来担体と比較して3倍以上の高速処理が可能であることが報告されています。また、コストにおいても従来比1/10以下になると試算されており、現在は水処理メーカー、エンドユーザーと実装に向けた開発が進んでいます。
今後も水資源に関わる課題解決に取り組み、世界の水環境問題に貢献していきます。
CO₂の排出削減が喫緊の課題となっている現在、CO₂の排出自体を低減させる技術に加えて、大気や排ガス中に含まれるCO₂を固定化する技術へのニーズが高まっています。さらにCO₂の有効利用という観点では、燃料や化学品への転換・合成技術が検討されており、一部は実用化されています。
当社では、産業技術総合研究所と共同し、これらの合成原料を炭素材料の原料として使用する可能性を探索しており、カーボンニュートラル実現に向けた炭素固定化技術の基礎研究を行っています。現在は低分子量の種々の炭素化合物を原料に、触媒存在下での熱分解反応を利用して、微粉末状の固体炭素を生成するプロセス条件を検討しています。
今後もカーボンニュートラルの実現に関わる課題解決に取り組み、世界の気候変動問題に貢献していきます。