当社は、現在、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への賛同署名を行っており、TCFDが提言する開示フレームワーク(気候関連のリスク及び機会に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿った情報開示に向けて準備を進めております。
サステナビリティ推進委員会の支援プロジェクトとしてTCFD対応プロジェクトを設置し、気候変動対応に関するシナリオ分析、リスク機会の分析、対応策の策定等を行い、その内容はサステナビリティ推進委員会に報告されます。
サステナビリティ推進委員会で行われた審議は、取締役会に報告され承認・指示されます。
取締役会で報告、承認・指示されたサステナビリティに関する議案は、サステナビリティ推進委員会を通じて当社の各事業部門、及びグループ各社に伝達され、それぞれの経営計画・事業運営に反映されます。また、その内容によっては取引先にも協力を要請しています。
TCFDが推奨するガイダンスに則り、2040年までの事業環境をシナリオ分析の手法を活用し、気候変動が当社に与える影響を分析・評価しています。
対象範囲 | グループ連結対象企業 |
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想定期間 | 現在~2040年(CO₂削減目標は、2050年) |
シナリオ構築 | 1.【1.5℃シナリオ】
地球の平均気温を産業革命以前の水準から1.5℃以内に抑えるシナリオ 参照情報 IEA WEO2020 SDSシナリオ IPCC 第6次評価報告書 第1作業部会報告書より SSP1-1.9,2.6 その他 2.【4℃シナリオ】 地球の平均気温の上昇を産業革命以前の水準から4℃程度上昇するシナリオ 参照情報 IEA WEO2020 STEPSシナリオ IPCC第6次評価報告書 第1作業部会報告書より SSP2-4.5、SSP3-7.9、SSP5-8.5 A-PLAT S8 気候 RCP8.5 その他 |
WEO:IEAが発刊する世界エネルギー見通しWorld Energy Outlook 2020
IPCC:気候変動に関する政府間パネルIntergovernmental Panel on Climate Change
A-PLAT:気候変動適応情報プラットフォームClimate Change Adaptation Information Platform
気候変動に関連したリスクと機会をより具体的に明らかにするために、1.5℃シナリオ及び4℃シナリオ下における事業環境の変化を想定し、発生する可能性のあるリスクと機会を抽出しました。
その中でも当社の経営に大きく影響を及ぼす可能性があると推測されるものが次表となります。
シナリオ分析からは、当社の事業は、気候変動に関連した社会変化、市場変化に部分的に影響を受ける反面、再生可能エネルギー関連製品の市場拡大など事業機会も大きいことが分かりました。
当社では、経営の持続可能性と発展のためには、今後の事業環境を見極めつつ迅速な対応を行っていく必要があると評価しています。
対応については、現在、検討を進めている段階です。
主なリスク | 出現時期 | 財務影響 | |
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政策・規制 | 厳しい温室効果ガス排出抑制基準が設けられ、排出削減のための投資や技術改善が必要となる。 | 短~長期 | - |
市場/顧客の変化 | 自動車のEV化によるエンジン関連の製品需要が減少する。 | 中~長期 | 小 |
次世代太陽光発電パネルの広がりにより、製品の需要が減少する。 | 長期 | 小 | |
同業他社等、
業界の変化 |
環境に配慮した生産体制の見直しによって、競合他社との競争が激化する。 | 中~長期 | 中 |
調達 | 原材料(コークス・ピッチ)の需給バランスの崩れにより、価格が高騰する可能性がある。 | 短~長期 | 中 |
炭素税の導入や環境に適応した調達品の価格が高騰する可能性がある。 | 短~長期 | 小 | |
製造 | 自然災害の激甚化により、操業停止などによるコスト増加の可能性がある。 | 中~長期 | 小 |
環境対応のため求められる製造プロセス改善のコストが増加する。 | 中~長期 | 中 |
主な機会 | 出現時期 | 財務影響 | |
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政策 ・ 規制 | 再生可能エネルギーなどの環境に関連する製品の需要が増加する可能性がある。 | 中~長期 | - |
市場/顧客の変化 | 自動車のEVシフトによりパワー半導体関連など、黒鉛部材の需要が増加する。 | 中~長期 | 大 |
風力発電の需要増により、給電・アース用ブラシの需要が増える。 | 中~長期 | 小 | |
CO₂排出量削減にともない原子力用途の黒鉛需要が増加する可能性がある。 | 中~長期 | 小 |
【財務影響】 小:0~10億円未満、中:10億円以上~100億円未満、大:100億円以上
当社グループは、「リスク・コンプライアンス基本規程」に基づき、法令・定款および企業倫理の遵守とリスク管理体制の確立のため、これらを統括する組織としてリスク・コンプライアンス委員会(以下RC委員会)を設置し、リスク・コンプラアインス上、重要な課題について審議し、方針を決議しています。個別のリスクについては、主幹部署が管理・対応を行い、RC委員会がこれらを統括しています。
気候関連のリスク項目は、サステナビリティ推進委員会で管理されるとともに全社のリスクマネジメントの一貫として、RC委員会において評価・検討を行い、取締役会に報告されます。
東洋炭素では温室効果ガス排出量について、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて取り組みを進めています。
Scope1、Scope2及びScope3における過去の温室効果ガス排出量については、GHGプロトコルに準拠し算定を行いました。
2030年度目標
売上あたり温室効果ガス排出量原単位(Scope1、Scope2)30%削減 2019年度比 (単体)
算定における信頼性の確保のために、GHG排出量の第三者検証(Scope1、Scope2及びScope3)を受けています。
リスクや事業機会の管理に必要な指標、目標値は、それぞれのリスクや機会への対応策を策定後に決定します。
当社は、気候変動が将来にわたって社会に影響を及ぼす重大な課題であると認識し、CO₂等の温室効果ガス排出削減に向けた、製造工程におけるエネルギー使用の効率化・省力化等に取り組むなど、全社員が環境維持への意識高揚に努めています。
また、環境マネジメントに関する国際規格「ISO14001」の基本的な考え方をベースに、各国の各種環境法令・規制を遵守するとともに、産廃物削減による省資源活動や、環境汚染物質の管理を徹底しています。
世界の気候変動問題への取り組みが加速する中、当社は、温室効果ガス排出量について、2050年にカーボンニュートラルの実現に向けて今後の取り組みをより一層強化・加速してまいります。
なお、Scope1、Scope2、Scope3については、現在GHGプロトコルに準拠した算定を進めております。